ジャワ更紗のお話
〜サイズによって微妙に用途が異なるジャワ更紗〜
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ジャワ更紗はもともと、ジャワの王宮の女性が染めはじめたもの。ですが、17〜18世紀には広く一般に普及し、その後はジャワの人々にとって、無くてはならない布となりました。一般的な用途としては腰に巻くものがほとんどですが、時には正装時の頭巾や肩掛けとして、また時には、赤ん坊を抱えるためになど、その用途も広く種類も多くあります。
幅100〜105cm、長さ約260cmの、腰に巻いて着用する更紗は「カイン・パンジャン」と呼ばれます。布の中央部は同じ柄で両端には二等辺三角形の柄が描かれます。
このカイン・パンジャンの色や柄を布の中央で区切って違うものに変えたのが「パギ・ソレ」。パギは「朝」、ソレは「夕」の意味で、朝夕で布の巻き始めを変えることで、違う布に見せることができるため、この名がついたとか。
カイン・パンジャンと似ていますが、少し短いのが、「サロン」。これは筒状に縫い合わせてから腰に巻くものです。
幅30cm〜50cm、長さ約200cmの折りたたんで右肩からかける女性用の肩掛けは「スレンダン」。
そして、お洒落とは全く違うものですが、カイン・パンジャンと同程度の大きさで、赤ちゃんをくるんで抱いたり、荷物を運んだりする時に利用するのが「ゲンドガン」。
ほんの少しの長さや柄の違いで用途が異なるなんて!と思った方も多いのではないでしょうか(^^)?私たちは毎日腰に巻くことはありませんが、タペストリーにしたパギ・ソレを朝夕で、見せ方を変える、なんて楽しみ方はできますね(^^)。
※参考文献
「ジャワ更紗-今に生きる伝統-」(小学館)
伊藤ふさ美・小笠原小枝著
「別冊太陽:アジア・アフリカの古布」(平凡社)
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