ジャワ更紗のお話
〜ジャワ更紗ロマンティックストーリー〜
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ジャワ更紗の模様は多種多様ですが、その中でもいわゆる「伝統柄」と呼ばれ、大切に受け継がれている気品あふれる素晴しいものがあります。私が大好きな地模様の一つに「トゥルントゥン」と呼ばれる非常に繊細なものがあります。その蝋を置く作業に思いをはせると、まるで気の遠くなるほどに細かいもの。その模様に何故この名がついたのか、ちょっと素敵なお話を今日はご紹介しましょう。
昔昔のこと。王家に嫁いできた王妃が、なかなか王とは親密になれずにいました。彼女は一人、さみしい時を過ごす中で、ただただ、丹念に更紗に蝋で模様を描き続けていました。
そんなある日のこと。いつものように更紗に蝋を置く彼女のもとを王が通りかかり、あまりに寂しそうなその姿に、ふと「何をしている?」と、尋ねたのです。顔を上げ、ただ更紗を描いております、と答えた彼女の手には、それまで見たこともないような繊細な模様が描かれていました。王はその模様の美しさの中に、その王妃の、決して外には出さない、けれど美しい心を知り、やがて二人の間に愛が芽生えたのです。
王妃が描いていた模様がきっかけとなって、二人の愛を芽生えさせた。だから、この模様は「トゥルントゥン(芽生え)」と名づけられたとか。
ちなみにトゥルントゥルンは本当に繊細な模様で、今はなかなか、手には入りません。ですが、もし手に入れることができたら、王と王妃のような素敵なロマンスにめぐり合える。かも・・。
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